小説で読む個別指導と弁護士への相談
厚生局の個別指導で再指導となった薬局は、静かな焦燥を抱えていた。
指導官の冷静な声が耳にこびりついている。「貴薬局の業務運営に関し、改善が求められる点がいくつかあります。是正をお願いいたします」
淡々とした口調とは裏腹に、その言葉が意味するところは重い。再指導通知。——それは、改善が不十分であれば、さらに厳しい処分へと進む可能性があるということだ。
薬局の開設者であり、薬剤師でもある自分は、これまで真摯に業務に取り組んできたはずだった。しかし、現実は甘くなかった。書類の記載不備、管理料の算定ミス、忙しさに追われて見落としていた細かいルール違反……。どれも意図的ではないとはいえ、指導官から見れば言い訳にはならない。
薬局は自問した。「どこを、どう改善すればいいのか」「また来年も個別指導に呼ばれるのか。ストレスがきつい。」
日々の調剤、服薬指導、在庫管理、加算の算定……。一つ一つを丁寧に行っているつもりだった。しかし、厚生局はそうは見なさなかった。法令やガイドラインに基づき、より適切な運営を求めている。
そして、1か月以内に改善報告書の提出と診療報酬の自主点検、自主返還が求められている。改善報告書はどう書けばいいのかもわからない。悩んだ末、薬局は弁護士に相談することを決めた。
小笠原弁護士。厚生局の対応に精通し、冷静かつ的確なアドバイスをくれる人物だ。「まず、指摘事項を一つずつ整理しましょう」
薬局は指導内容を弁護士に伝えた。小笠原は細かくメモを取りながら、要点をまとめていく。「調剤録の記載が不十分な点、加算要件の解釈、薬歴の記載漏れ……。これらは比較的修正しやすいですが、日常業務に落とし込む工夫が必要ですね。」
具体的な改善策を提示されると、漠然とした不安が少しずつ薄れていくのを感じた。「経過観察に持ち込むには、実際に改善していることを示す証拠を客観的に揃える必要があります。例えば、服薬指導の記録をより詳しく残す、調剤時のチェックリストを作成するなどの工夫が有効です。」
薬局は弁護士の助言に従い、従業員とも相談しながら改善策を実行に移した。弁護士に相談したことで、前に進めていく気力がわいてきた。
改善内容をまとめた改善報告書を作成し、厚生局に提出した。特に、管理料の自主点検を行い、不適切な算定があったものについては自主返還を実施。その誠意ある対応が、次の指導での評価につながることを期待した。
それから1年後、再指導の日が訪れた。指導官は提出された資料を確認し、一つ一つ質問を投げかける。薬局は弁護士の助言通り、明確な根拠を示しながら説明した。「今回は問題ないのではないか」そう実感した。
経過観察の通知がきたとき、薬局は安堵した。まだ完全に問題が解決したわけではないが、前進した実感があった。
個別指導は薬局にとって試練だった。しかし、それを乗り越えることで、より良い薬局運営ができるのだと、薬局は確信した。指導を受けることは、自分の業務を見直す機会でもある。改めて気を引き締めなければならない。患者のために、安全で適正な医療を提供する。その信念を再確認しながら、薬局の開設者は深く決意を固めた。
今後も、より適切な医療提供のために、改善を続けていこう——そう誓いながら、薬局は日常業務へと戻っていった。
※この物語はフィクションです。